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ダイアフラムポンプとは?仕組み・用途・メリットと注意点をわかりやすく解説

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ダイアフラムポンプ(ダイヤフラムポンプ)は、液体だけでなく気体(真空引きなど)の移送にも広く使われるポンプです。
特に「絶対に漏らしたくない」「クリーンな環境で扱う必要がある」という現場で重宝されています。

この記事では、ダイアフラムポンプの具体的なメリットや、他ポンプとの違い、自社に合うかの判断基準を知りたいといったお悩みを抱える担当者様に向け、仕組みや用途、メリット・デメリット、そして失敗しない選び方までを分かりやすく解説します。

ダイヤフラムポンプとは?仕組み・用途・メリットと注意点をわかりやすく解説

そもそも「ダイアフラムポンプ」とは?

ダイヤフラムポンプ

ダイアフラムポンプとは、内部にある「ダイアフラム(膜)」がペコペコと往復運動をすることで、液体や気体を押し出して運ぶポンプのことです。

人間の心臓が収縮して血液を送り出す動きに似ています。

仕組みはとてもシンプルで、「引く(吸い込む)→押す(吐き出す)」の繰り返しです。
吸込側と吐出側にある「逆止弁」が一方通行のドアとして働くことで、逆流せず一定方向へ運ばれていきます。

液体用と気体用(真空ポンプ)の違い

気体用と流体用の比較

ポンプというと「液体を運ぶもの」とイメージされがちですが、ダイアフラムポンプには気体移送用の「ダイアフラム型ドライ真空ポンプ」も存在します。

液体用のダイアフラムポンプ

液体は気体と異なり「圧縮できない」ため、液体用ポンプは部品により大きな負荷がかかり、脈動が激しくなります
そのため、液体用は「ストロークを短くする」「ベアリングをより頑強にする」といった専用設計がなされています

気体用のダイアフラムポンプ

液体用ポンプが「物を運ぶ」のが目的であるのに対し、真空用は「空間から気体を取り除き、真空状態を作る」のが目的。
そのため、気密性や耐久性において、より高度な技術的知見が求められます。

ダイアフラム型は油(オイル)を使わずにクリーンな状態で真空を引けるため、分析機器や真空乾燥など、高度な環境が求められる現場では欠かせない存在です。

ダイアフラムポンプはどんな現場で活躍する?主な用途

近年、AIの普及や自動車のEV化に伴う、デバイスのさらなる「高精度化・微細化」が求められている影響で、オイルを使わない真空ポンプであるダイアフラム型真空ポンプは変えの効かない存在として需要が拡大しています。

ダイアフラムポンプが使われている業界や、活用例をご紹介いたします。

半導体・電子部品業界での繊細な部品の吸着や搬送

薄くて繊細な部品を吸い付けて動かす作業で、オイルで汚す心配のないダイアフラムポンプが使用されています。

  • ウェハの吸着・真空チャック
    吸盤のように空気の力で対象物をピタッと台に吸い付ける仕組みのこと。
    加工中にウェハ(薄い円盤状の板)を空気の力で固定します

  • 真空ピンセット
    手では触れないほど小さなパーツを、吸い込んで持ち上げる

  • フィルムの吸着
    フィルムを、シワや気泡が入らないように貼り合わせる

自動機・包装・印刷業界での吸い込みや搬送

ハイスピードで動く機械の中で、紙や袋をコントロールするために使われます。

  • 包装・自動機械
    食品や薬品のパッケージを、清潔な状態を保ったままパッキングする

  • 印刷機械
    流れるように動く紙を、空気の力で抑えたり送ったりする

  • 光学機器
    カメラレンズなどの精密な加工・コーティング時の真空引き

医療・理化学・分析分野での排気

コンタミネーション(不純物の混入)が絶対に許されない、デリケートな工程において、欠かせない存在となっています。

  • 医療用機器
    血液分析装置や手術支援装置など、不純物の混入が許されない場所

  • 脱ガス・脱泡・濃縮
    材料の中にある気泡を抜いて品質を上げたり、成分を濃縮したりする

  • 分析装置の排気
    装置内部を清潔な真空状態にして、正しい数値を測る

その他、液体用のダイアフラムポンプは、薬液や腐食性液体の移送で利用されています。
化学工場や半導体製造工程などで、強い酸やアルカリ性の薬液を安全に運ぶことが可能です。

ダイアフラムポンプの4つのメリット

メリット

1.液漏れやガス漏れのリスクが低い

一般的なポンプにある「軸シール」という部品がなく、膜で空間を完全に仕切っているため、外部への漏れリスクを極限まで抑えられます。
現場の安全確保や歩留まり低下といった課題を根本から解決できます。

2.腐食性の強いガス・液体に強い
接ガス部・接液部の材質をフッ素樹脂などに変更できるため、金属を溶かすような腐食性の高いガス・液体に対応可能です。

3.一定量を正確に運びやすい
1回の膜の動きで運ぶ量が決まっているため、狙った量だけを正確に移送する(定量性)のが得意です。

4.小型化しやすく装置への組み込みに最適
構造がシンプルで手のひらサイズのものも多く、各種装置へ組み込むOEM用途としても人気があります。
ヘッド部分を外すだけで膜の交換ができるなど、メンテナンス性が高いのも選ばれる理由です。

ダイアフラムポンプのデメリット

1.脈動(流れのムラ)が起こりやすい

液体用も気体用も膜が往復する構造上、吐出に波が生まれます。
圧力制御や連続的な流れが必要な場合は、バッファータンクやダンパーを設置するなどの対策が必要です。

2.材質選びが寿命を左右する

ガスや流体と膜などの材質の相性が悪いと、部品の劣化が早くなってしまいます。
扱うものに適した、専門的な知見に基づく選定が求められます。

3.定期的な消耗品の交換が不可欠

膜や弁は消耗品のため、定期的な点検と部品交換(オーバーホール)を前提とした運用計画が必要です。

合わせて読みたい:真空ポンプのオーバーホールとは?すべき時の判断基準と修理との違いを解説

他のポンプとどう違う?簡易比較

他のポンプとどう違う?簡易比較

  • 油回転真空ポンプ(ロータリーポンプ)との違い
    油回転式は、高い真空度を得るのが得意ですが、排気にオイルミスト(油煙)が混ざるリスクや、定期的なオイル交換の手間があります。ダイアフラムポンプは、油を一切使わない「完全ドライ」なため、排気がクリーンでメンテナンスも非常に楽という利点があります。
  • スクロールポンプとの違い
    スクロール式は、ダイアフラム型と同じく油を使わない真空ポンプで、より高い真空度で安定して引くことができます。しかし構造上、摩耗粉が出たり、腐食性のガスに弱かったりする面があります。ダイアフラムポンプは、接ガス部をテフロン等の樹脂にできるため、「腐食性ガスへの強さ」や「コンパクトさ」において勝ります。

ダイアフラムポンプを選ぶための5つのステップ

自社に最適なポンプを導入するためには、以下のステップで要件を整理することが成功の鍵です。

1.扱うガスや流体と接するパーツの材質の相性確認
ポンプの寿命を伸ばすためには、ガスや液体が直接触れるパーツに、どのような素材を使うかがカギになってきます。成分、濃度、温度を把握し、最適な材質(フッ素樹脂、各種ゴムなど)を選びましょう。

 

💡特に材質選びに気をつけるべきパーツ

  • ダイアフラム
    往復運動をする、ポンプの膜の部分です。

  • チェックバルブ
    逆流を防ぐための弁です。

  • ポンプヘッド
    流体が直接触れる、流路を形成する部品

2.到達圧力(真空度)と排気速度の把握
どこまで圧力を下げたいか(到達圧力)、移送用途であれば、1分間に運ぶ量や圧力、真空用途であれば「どこまで圧力を下げるかを正確に把握しましょう。

3.脈動・圧力変動対策が必要か検討
脈動が圧力安定性や品質に影響する場合は、変動を抑えるバッファータンクやダンパーなどの周辺機器を検討します。

4.専門的な「排気計算」によるスペック最適化
「カタログ値の通りに真空にならない」「必要以上にオーバースペックな大型ポンプを買ってしまい、コストと設置スペースを無駄にした」といった失敗が起こりがちです。
実際には、配管の太さや長さ、曲がりの数などによって大きくロスが発生するため、導入前に配管条件を加味した専門的な「排気計算」を行うことをおすすめいたします。

5.導入後のメンテナンス体制
ダイアフラムポンプは、膜などの消耗部品を定期的に交換することで本来の性能を維持できる機器です。そのため、その後のメンテナンス性も考慮しておく必要があります。

部品の入手や交換、オーバーホール、校正対応などをどうするのかを決めておきましょう。

選定や運用に迷ったらプロに相談を

ダイアフラムポンプは汎用性が高く優秀なポンプですが、性能を最大限に引き出すには、流体との材質適合や正確な排気計算など、専門的な知見が求められます。

「この薬液に合う材質はどれだろう?」
「配管条件を含めた排気計算をしてほしい」
「定期的なメンテナンスまで手が回らない…」

もし、少しでもこうした不安があるのなら、一度プロに相談してみるのも手です。

真空機器の総合商社として、豊富なメーカーラインナップの中から、貴社の設備に最適な1台を選定いたします。
さらに、改善提案や、高い精度を維持するための校正対応など、専門商社ならではの技術力で一貫サポートしております。

とりあえず話だけ聞いてみたい、といった段階でのご相談も大歓迎です。
機器の選定や運用で少しでも迷いや不安がございましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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