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真空ポンプの騒音が気になる!原因と静音化の対策を事例つきで解説

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「研究室や工場の真空ポンプ、最近音が大きくなった気がする…」「装置の近くで会話がしにくい…」
真空ポンプの騒音は、作業環境の快適性を損なうだけでなく、時として装置の不調を知らせるサインでもあります。

この記事では、真空ポンプの騒音の正体を正しく理解し、原因に応じた効果的な静音化対策を、優先順位や事例を交えながら真空機器専門商社の視点で分かりやすく解説します。

真空ポンプの騒音が気になる!原因と静音化の対策を事例つきで解説

真空ポンプの騒音、主な3つの原因

  • 気流音
    空気を吸排気する際の「シュー」「ゴー」という音。排気の風切り音やダクトの共鳴が原因です。
  • 機械音
    モーターやベアリング、ギアなど、ポンプ内部の部品が動作する「ウィーン」「ガラガラ」といった音です。
  • 固体伝搬音
    ポンプの振動が床や架台、配管に伝わって「ブーン」「ガタガタ」と建物が鳴るような音です。

騒音原因の切り分けリスト

「うちのポンプはどれだろう?」と思ったら、次の4つの観点で整理してみることで、原因のヒントが見つかります。

Q1. 排気の勢いは、いつも通りですか?
ポンプの空気音を確かめてみましょう。排気口からの風が弱かったり、息継ぎをするように不安定だったりする場合、フィルターが詰まっているサインです。

Q2. ダクトが太鼓のように鳴っていませんか?
ダクトの特定の部分だけがブルブルと強く震えているなら、ダクト自体が共鳴して騒音源になっている可能性があります。

Q3. 床や架台まで、ビリビリと振動していませんか?
ポンプの振動が床や壁にまで伝わっているなら、ポンプを固定するボルトの緩みや、防振ゴムの劣化が考えられます。

Q4. ポンプが熱っぽかったり、電気を使いすぎていませんか?
普段より本体が熱い、あるいはモニターの電流値が高いのは、モーターやベアリングなど内部部品が悲鳴を上げているサインかもしれません。

いつもと違う「異音」は故障のサイン

いつもと違う「異音」はポンプからのSOSかもしれません。放置せず、速やかな初動対応で被害の拡大を防ぎましょう。

  • 「キーキー」といった金属が擦れる音
    部品摩耗の可能性が高いです。直ちに運転を停止し、点検を依頼してください。
  • 「ゴー」という唸り音 + 電流・温度の上昇
    ベアリング劣化や内部汚れの疑いがあります。早めに整備計画を立てましょう。
  • 「ガタガタ」という音
    架台や配管の共振。固定ボルトの緩みや配管の取り回しを見直しましょう。

優先度順、静音化の5つの方法

費用対効果が高く、取り組みやすい順に対策をご紹介します。

据付(すえつけ)の最適化

機械を“置く”だけでなく、正しく固定し、配管・電気まで含めて、安全に使える状態へ仕上げることで、ポンプの振動が床や架台に伝わるのを防ぐ、最も基本的で効果的な対策です。

具体的な対策

  • 水平の確認とアンカーボルトの再締結
  • 防振ゴムや除振台の設置・更新

    空気の流れを整える

    空気の流れを整えることで、気流音を低減します。

    具体的な対策

    • 排気サイレンサー(消音器)の設置
    • ダクト径を太くし、急な曲がりを減らす

      吸気抵抗の低減

      吸気抵抗を減らすとポンプの負荷が下がり、運転音も静かになります。

      具体的な対策

      • 吸気フィルターの清掃または交換

      防音カバーの設置

      他の対策で不十分な場合に有効です。

      具体的な対策

      • メンテナンス用の点検口や排熱対策を忘れずに
      • 効果の目安は5〜15dB程度の低減

        運転の最適化

        インバーター制御で必要最低限の運転に留め、静音と省エネを両立します。

        具体的な対策

        • 待機時の回転数を下げる
        • プロセスに合わせた回転数制御

          静かなポンプの選び方

          • 比較的に静かな方式
            研究室や装置組込みでは、構造的に静かなスクロール式ダイアフラム式が向いています。
          • セットでの設計が重要な方式
            大流量のクロー式スクリュー式は、ポンプ単体でなく、据付や防音、排気設計までをセットで考えるのが静音化の前提です。

          ※カタログの騒音値(dB)は測定条件が各社で異なります。単純比較せず、条件を揃えて確認しましょう。

          【事例】ポンプ更新と”特製除振台”で騒音と性能低下をW解決

          「理論や対策は分かったけれど、実際にどんな効果があるの?」
          ここでは、私たち三弘エマテックが実際にお客様のお悩みを解決した事例をご紹介します。

          ・背景
          工場2階に設置された装置で、「最近ポンプの性能が落ちてきた上、下の階まで響く音が気になる」というご相談をいただきました。

          ・ご提案と施策
          現地調査の結果、ポンプ自体の経年劣化と、設置架台が振動を増幅させていることが判明。そこで、同等性能の新しいポンプへの載せ替えと同時に、オーダーメイドの除振台の製作をご提案。ポンプの交換から配線工事、起動確認、そして除振台の設置までを一括で請け負いました。

          ・効果
          「真空の立ち上がりが早くなったのはもちろん、体感でわかるほど静かになり、現場のストレスが減った」と大変ご満足いただけました。この除振台の効果を評価いただき、後に別の装置にもご採用いただいています。

          この導入事例を詳しく見る

          除振台で解決しやすい騒音/別対策が必要な騒音

          【除振台で改善しやすい】

          • ポンプ停止時は静かだが、運転すると床・架台・配管が共鳴してと響く
          • 上階・隣室に音が伝わる(固体伝搬が主因)
          • アンカーや防振ゴムを更新しても低周波の揺れが残る

          【別対策が要りやすい】

          • 「シュー」「ゴー」等の風切り音が主因(排気系の設計見直しが必要)
          • 「キー」など金属擦過音(ベアリング等の整備・交換が優先)
          • フィルター詰まりによる脈動音(フィルター清掃・交換)

          まとめ

          真空ポンプの騒音対策は、やみくもに行うのではなく、まず音の正体を見極めることが解決への一番の近道です。

          騒音は「気流音」「機械音」「振動が伝わる音」の3つに分けて考えることで、無駄なく静かな環境を取り戻せます。

          そして何より、いつもと違う「異音」はポンプが発する大事なメッセージです。
          大きなトラブルにつながる前に、ぜひ専門家による健康診断をご検討ください。

          私たち三弘エマテックは、真空ポンプの販売だけでなく、配管や設置環境まで含めた真空システム全体で、お客様にとってベストな静音化をご提案します。
          「この音、どうにかならないか?」そのお悩み、ぜひ一度お聞かせください。

          三弘エマテックの特徴を知る

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