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真空ポンプの仕組みをわかりやすく解説!用途や構造・選び方まで紹介

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「真空ポンプって、どうやって空気を吸い出すの?」
「種類が多くて、何が違うのか分からない…」

そんな疑問を抱く方も多いのではないでしょうか。
真空ポンプは、仕組みや種類が多岐にわたるため、初めて扱う方にとっては分かりにくい機器かもしれません。

この記事では、真空ポンプの基本的な仕組みから代表的な種類、そして選定のポイントまでを分かりやすく解説します。

真空の基本的な知識に関しては以下の記事で解説しておりますので、合わせてご覧ください。

今さら聞けない「真空」とは?原理・種類・用途をわかりやすく解説!

真空ポンプ

真空ポンプの基本構造とは?

真空ポンプの役割を一言でいうと、密閉された空間から気体分子を物理的に取り除き、大気圧よりも低い圧力状態(真空)を作り出すための装置です。
その仕組みは、大きく次の2タイプに分かれます。

容積移送式(気体を押し出すタイプ)

もっとも基本的なタイプで、気体を閉じ込め、空間を縮めて圧力を上げて外へ押し出す方式。
注射器のように、ピストンや羽根が空間を縮めることで、内部の圧力を高めて外部に排出します。

代表的な構造

  • 油回転式
    油で気密性と潤滑を保ちながらローターが回転し、気体を吸引・圧縮・排出します。

  • ドライスクロール式
    2枚の渦巻き形の部品が噛み合い、気体を中心に追い込みながら圧縮します。

  • ルーツ式
    “まゆ”のような回転体が交互に回り、気体を一定量ずつ送ります。

この方式は、大気圧から低真空〜中真空までの「粗引き」工程に適しており、安定した性能と汎用性の高さが特長です。

分子を移動させるタイプ

羽根で分子を弾き出したり、極低温で凍らせて吸着するなど、気体分子の動きを直接コントロールすることで排気します。

この原理は、高真空〜超高真空を得るために不可欠であり、分子レベルでの制御が可能なため、半導体や分析装置などに適しています。ただし、大気圧では作動しないため、前段に粗引きポンプを組み合わせる必要があります。

代表的な構造:

  • ターボ分子ポンプ
    1枚1枚のタービンブレードが超高速(数万rpm)で回転し、気体分子を連続的に叩き出す構造。
    クリーンで高真空を得やすく、電子顕微鏡や半導体製造に多用されます。

気体溜め込み式

このタイプでは、気体分子をポンプ内部で「凍結させる」または「化学的に固定する」ことで排気するという方法がとられます。

代表的な方式には:

  • クライオポンプ:極低温(-200℃以下)の冷却面に気体を凍結させる(クライオトラップ)

  • イオンポンプ:気体をイオン化し、金属表面に化学的に吸着させて固定する

これらは、振動が少なく、静かで、きわめて高い真空度を長時間維持できるのが特長です。
主に加速器や真空実験装置、表面分析装置などの「超高真空」が必要な分野で使用されます。

ポンプ選びで失敗しない3つのポイント

  1. 必要な真空度のレベル
    低真空で十分か、高真空まで必要かでポンプの種類は大きく変わります。

  2. 排気対象の気体と量
    腐食性ガスや湿気を含む場合は材質選定が重要です。排気速度も選定基準になります。

  3. オイル汚染への許容度
    油分が影響する現場では、ドライやターボ分子などオイルフリーの選択肢が適しています。

      まとめ

      真空ポンプの仕組みは「押し出す」か「捕まえる」かの2タイプに大別されます。
      適したポンプを選ぶ際には、必要な真空度や排気する気体の性質、オイル汚染の許容度などを考慮することが大切です。

      三弘エマテックでは、装置選定からシステム設計、導入後の保守までトータルでご支援可能です。
      「どのポンプを選べばいいか分からない」といったお悩みも、お気軽にご相談ください。

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