
ヘリウムリークディテクタを選ぶ際、「とにかく一番感度が高いものを買っておけば安心だろう」と考えていませんか?
実は、その選び方こそが、オーバースペックによる導入コストの増大や、現場での使いにくさを招く原因になってしまうことがあります。
ヘリウムリークディテクタの導入を成功させる鍵は、要求スペックと設置環境にぴったり合った「最適な1台」を見つけることです。
この記事では、装置の仕組みなどの基礎知識から、絶対に押さえておくべき「5つの選定軸」、さらに主要メーカーごとの特徴比較までを、真空機器総合商社が徹底解説します。
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目次
ヘリウムリークディテクタとは

ヘリウムリークディテクタとは、ヘリウムを「トレーサーガス(目印となるガス)」として使い、漏れを定量的に測定する装置です。
内部の分析管でヘリウムイオンだけを選択的に検出する仕組みになっています。
一般的には、「ヘリウムリークディテクタ」は測定器単体を指し、「ヘリウムリークテスタ」は装置やシステム全体を指します。
最大の特徴は、エアリークテスト(差圧法・流量法)が「OK/NGの判定」を主とするのに対し、漏れ箇所を特定し、どれだけ漏れているかを正確な数値(Pa・m³/s)で把握できる点です。
測定結果が数値として出力されるため、作業者による判定のばらつきを抑えやすく、安定した検査につなげられることから、多くの製造現場で信頼されています。
💡ヘリウムリークテストについては、こちらの記事で詳しく解説しています
ヘリウムリークテストとは?原理・検査方法・エアリークテストとの違いを解説
ヘリウムリークディテクタの原理
装置が漏れを検知するメカニズムは、大きく3つのステップに分けられます。
① ヘリウムが漏れ箇所から流入する
漏れ箇所を通過したヘリウムガスをディテクタに内蔵されている真空排気系を介して「質量分析管(アナライザー)」へ送ります。
② 分析管(アナライザー)がヘリウムだけを選別する
分析管に届いたガス分子は、フィラメントから放出された電子との衝突によってイオン化されます。
ここで磁場を通過させると、イオンは質量の違いによって異なる軌道を描きます。
ヘリウムイオン(質量数4)だけ選択的に検出するため、他の気体成分と区別して高感度に識別できます。
③ イオン量から漏れ量(リークレート)を算出して数値化
選別されたヘリウムイオンがコレクタ電極に到達すると、ごく微弱な電流が流れます。この電流値を、あらかじめ校正された感度※に基づいてリークレート(Pa・m³/s)へ換算し、モニターに表示します。
※感度校正には、既知の漏れ量を持つ校正リーク(漏れ量の基準器)が用いられる
失敗しない5つの選定軸

1. 検出感度(最小可検リーク量)
最も基本となるスペックですが、「とにかく感度が高ければ良い」というわけではありません。
オーバースペックにならないよう、要求されるリークレートに対して「必要十分な感度」を持つ機種を選びましょう。
2. 粗引きポンプの種類
テストポート(接続口)の排気に使う補助ポンプです。
設置する環境に合わせて選びます。
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油回転式
排気速度が速く、導入コストを抑えやすいのがメリット。
ただしオイルミストが発生するため、クリーンルームや食品・医療分野には不向きです。 -
ドライスクロール式
オイルフリーでクリーンな排気が可能。
半導体や医療、食品分野に最適で、クリーン性が求められる用途に適しています。
3. 可搬性・設置形態
「同じ場所で常時稼働させるのか」「いろいろな現場へ持ち運ぶのか」で、適した形状が変わります。
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据置型(モジュール型)
量産ラインへの固定設置向けです。
高い排気能力を活かし、タクトタイム(検査サイクル)の短縮を優先したい現場に最適です。 -
ポータブル型
キャスター付きなどで移動しやすいタイプです。
複数のラインで使い回したり、現場へ持ち込んで検査したりする用途に向いています。
4. 起動時間・タクトタイム
特に量産ラインへ組み込む場合、生産性に直結する重要なポイントです。
起動時間やウォームアップ時間は機種によって異なります。
「検査室で1日に数回だけ使う」のか、「ラインで常に稼働させ続ける」のかによって、適したスペックを見極める必要があります。
5. 操作性・アフターサポート
複数人で操作する現場では、誰が触っても迷わず操作できるか、という点も運用していくうえで重要です。
また、ヘリウムリークディテクタは定期的な校正が必要な精密機器です。フィラメントやポンプオイルといった消耗品が手に入りやすいか、メーカーや販売店のサポート体制が整っているかも、長く使う上では見逃せないポイントです。
主要メーカー・機種の特徴比較

ヘリウムリークディテクタは、メーカーごとに強みや設計思想が大きく異なります。
ここでは、現場でよくご相談いただく主要メーカー(アルバック・エドワーズ・ライボルト)の注目機種をピックアップしてご紹介します。
各モデルの設計上の特長を把握する参考にしてください。
| 項目 | HELIOT900 (アルバック) | ELD500 (エドワーズ) | PHOENIX (ライボルト) |
|---|---|---|---|
| 最小可検リーク量 | < 5×10⁻¹³ Pa・m³/s | ≤ 5×10⁻¹³ Pa・m³/s | ≤ 5×10⁻¹³ Pa・m³/s |
| 粗引きポンプ | 油回転 / ドライ(選択可) | 油回転 / ドライ / フレックス | モデルにより選択可 |
| 可搬性 | モデルにより異なる | 〇(約30kg・キャスター付) | 〇(ポータブルモデルあり) |
| 水素ガス対応 | 〇(標準機能) | 要確認 | 要確認 |
| 向いている現場 | 汎用・水素関連設備 | 移動多用・複数ライン共用 | UI重視・多人数オペレーション |
※三弘エマテックでは、上記以外の機種やメーカーも含め、お客様の仕様・ご予算に合わせて中立的な立場からご提案しております。
アルバック社製 HELIOT900シリーズ

最大5 L/secのヘリウム排気速度(ULTRAフロー)を誇る、高感度・高排気モデルです。
タブレット型のワイヤレスコントローラを標準搭載しており、本体から少し離れた場所からでも手元で操作できるのが便利。ヘリウムだけでなく水素ガスの検出にも標準で対応しているため、水素関連設備の検査にも活躍します。粗引きポンプや可搬性の違いで複数モデルが用意されており、現場に合わせた柔軟な選択が可能です。
エドワーズ社製 ELD500シリーズ

重量約30kgの軽量ボディにキャスターを搭載し、起動から2分以内で使用可能な現場対応型ディテクタです。
カラータッチスクリーンで直感的に操作でき、音声での漏れ表示やUSBへのデータロギングにも対応。
有線・無線モデルがあり、無線モデルでは最大10台を同時制御可能です。ウェット・ドライ・フレックスの3モデルから、環境に合わせて選択できます。
ライボルト社製 PHOENIXシリーズ

市場でも珍しい小型ポータブルモデルをラインナップに持つシリーズ。
直感的に使えるマルチカラータッチスクリーンと、Wi-Fi対応が大きな特長です。
専用ソフトをダウンロードすることなく、お手持ちのスマホやタブレットから簡単にログイン・操作が可能です。
全モデルに高感度の「ULTRAモード」を搭載。設定パラメータを他のPHOENIX端末に簡単にコピーできるため、複数台を管理する現場での運用負荷を大きく下げてくれます。
サンプリングテストで導入前に確かめる
「カタログのスペックはわかったけれど、自社の製品で実際にどこまで検出できるか試したい」
導入を検討される際、こうしたご要望をよく伺います。
三弘エマテックでは、アルバック社製の「HELIOT900シリーズ」を使用したサンプリングテストに対応しております。
また、ご依頼内容や試験条件に応じて、実際の製品や部品をお預かりし、サンプリングテスト(有償)による検出精度の確認や事前評価にも対応しております。
まとめ
ヘリウムリークディテクタを選ぶ際は、以下の5つの視点から自社の現場に必要な要件を整理することが大切です。
-
検出感度
用途に応じた「必要十分」な感度を選ぶ -
粗引きポンプの種類
現場のクリーン度に合わせて油回転かドライかを決める -
可搬性・設置形態
固定で使うか、複数の現場で使い回すのかを考慮する。 -
起動時間・タクトタイム
生産ラインに組み込む場合は時間をチェックする -
操作性・アフターサポート
日々の使いやすさと、消耗品や校正などのアフターケアを確認する
三弘エマテックでは、アルバック、エドワーズ、ライボルトなど主要メーカーの他にも、国内外の真空に関する製品を幅広く取り扱っております。
「自社の現場にはどの機種が最適なのか」と迷われた際も、用途や環境、ご予算を丁寧にヒアリングし、専門商社として中立な立場から最適な1台をご提案いたします。
機種選定のご相談から事前のサンプリングテストまで、どうぞお気軽にお問い合わせください。
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