
水没テストの「泡」では見落としてしまうほどの微小な漏れや、エアリークテストの検出限界を超える厳しい品質基準。
気密性の証明は常にエンジニアを悩ませる大きな課題です。
こうした「次の一手」を迫られる現場で選ばれているのが、最高水準の検出感度を誇る「ヘリウムリークテスト」です。
この記事では、ヘリウムリークテストの原理や主な検査方法、エアリークテストとの違い、そしてどのような製品・用途に向いているかを、真空機器の総合商社が解説します。
装置の導入や検査方法の選定を検討している方の参考になれば幸いです。
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目次
ヘリウムリークテストとは?

ヘリウムリークテストとは、トレーサーガス(漏れを発見するための目印となるガス)にヘリウムを用い、ヘリウムリークディテクタで漏れを検出する検査方法です。
JIS Z 2330に規定されるリークテスト手法の一つで、気密性・密閉性が求められる製品の検査に使われています。
なぜヘリウムを使うのか
では、なぜ数あるガスのなかでヘリウムが選ばれるのでしょうか。
その理由は、ヘリウムの「分子がとても小さく、大気にほとんど存在せず、圧倒的に安全なガス」という性質にあります。
✓分子径が極めて小さい
水素に次いで2番目に軽い元素であるヘリウムは、単原子分子として存在するため、実質的な分子サイズは水素よりも小さいです。わずかな隙間も通り抜けるため、微小な漏れも見逃しません
✓大気中の濃度が約0.0005%と非常に低い
バックグラウンドノイズが少なく、高精度な検出が可能です
✓不活性で安全
製品や環境を汚染せず、可燃性もありません
これらの特性により、ヘリウムリークテストは気体を用いたリークテストのなかで最も高い検出感度を誇り、テスト条件によっては10⁻¹²Pa・m³/s オーダーの極微小な漏れまで検出できます。
また、ヘリウムリークテストはディテクタ(検出器)が漏れ量を計測するため、測定結果が作業者のスキルに左右されずに安定した検査が可能です。
リークテストの方法とは?目的や正しい方法を製品とともに紹介!
ヘリウムリークディテクタを使用した検査方法

ヘリウムリークディテクタを使った検査方法として、代表的な4つのアプローチをご紹介します。
検査対象の形状や用途によって使い分けます。
真空吹付け法(スプレー法)
検体の内部を真空排気し、外側からヘリウムガスをスプレーする方法です。
漏れ箇所があると、そこからヘリウムが流入してディテクタに検出されます。
漏れ箇所の位置を特定できるのが大きな特長で、配管・フランジ接合部・真空機器の気密検査などに広く使われています。
加圧スニッファー法(吸い込み法)
検体の内部にヘリウムを封入して加圧し、外側から「スニッファープローブ」で漏れ出たヘリウムを吸い込んで検出する方法です。
真空排気が難しい大型設備や、形状が複雑で真空法が適用しにくい製品に有効です。
漏れ箇所をある程度絞り込むことができます。
ボンビング法(浸せき法)
密閉された部品をヘリウム加圧タンクに入れて一定時間加圧し、その後、別の真空容器に移して内部から漏れ出てくるヘリウムを測定する方法です。
外部から直接アクセスできないICパッケージや水晶振動子などの密封電子部品の気密検査に使われることが多く、半導体・電子部品分野で特に活用されています。
真空容器法(ベルジャー法)
検体の内部にヘリウムを封入・加圧し、検体ごと真空容器(ベルジャー)に入れて外周を真空排気する方法です。
容器内の真空空間に漏れ出したヘリウムをリークディテクタで検出します。
高精度かつ高速なヘリウムリーク検査に有効でコンプレッサ、熱交換器、コンデンサなど大型機器の漏れ検査にも適用できる点が特長です。
ただし、スニッファー法のように漏れ箇所の位置を特定することはできません。微小漏れ、検体全体の漏れ量を定量化したい場合、圧力差に弱い製品、大型試験体にも広く使われます。
主な用途は、大型真空容器の製作工程中の確認検査、溶接部の気密確認、製品全体への均一な加圧が難しいケースなどです。
4つの検査方法の使い分け早見表
| 検査方法 | 漏れ箇所の特定 | 対象製品の例 | 特に向いている場面 |
|---|---|---|---|
| 真空法(スプレー法) | ○ | 配管・真空機器 | 箇所を絞り込みたい |
| スニッファー法 | △(大まか) | 大型設備・複雑形状品 | 真空排気が難しい製品 |
| 浸せき法 | × | ICパッケージ・電子部品 | 密封されて外部アクセス不可 |
| 真空容器法 | × | コンプレッサ・熱交換器・溶接構造品 | 微小漏れがみたい |
エアリークテストとの違い

ヘリウムリークテストと比較されることが多い検査方法が、空気や窒素を用いたエアリークテスト(差圧法・流量法)です。それぞれの特性を整理します。
| ヘリウムリークテスト | エアリークテスト | |
|---|---|---|
| 使用ガス | ヘリウム | 空気・窒素 |
| 一般的な検出感度 | 10⁻⁸ Pa⋅m³/s | 10⁻⁴ Pa⋅m³/s |
| リーク箇所の特定 | 可能(真空法・スニッファー法) | 原則不可 |
| 設備コスト | 高い(ディテクタの導入が必要) | 低い |
| 向いている用途 | 高精度検査・微小リークの検出 | 量産ライン・スループット優先 |
エアリークテストは設備が安価でスピーディーに検査できる一方、検出できる漏れ量に限界があります。
一方のヘリウムリークテストは、エアリークでは見つけられない微小な漏れの検出と漏れ箇所の特定に最適です。
「OK/NGの選別はエアリークテストで、最終確認や不良原因の特定はヘリウムテストで」という使い分けも、現場では一般的に行われています。
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どのような製品・用途に向いている?

ヘリウムリークテストは、特に以下のような製品や分野で活用されています。
| 分野 | 主な対象製品の例 |
|---|---|
| 自動車 | 熱交換器・燃料タンク・EVバッテリーケース・モーターインバーター |
| 半導体・電子部品 | ICパッケージ・コンデンサ・各種センサ |
| 住宅設備 | エアコン・冷蔵庫の冷却システム・配管・消火器 |
| 医療・医薬品 | 医療機器の密閉部位・薬品包装 |
| 水素・燃料電池 | 水素配管・タンク・燃料電池スタック |
このように様々な製品分野で取り扱われており、今後もヘリウムリークテストの重要性がさらに増しています。
ヘリウムリークディテクタのサンプリングテスト
サンプリングテストとは、実際の製品・部品を検査装置にかけて、導入前に検出精度や適性を確認できるサービスです。
導入前の検証だけでなく、新製品の開発・試作段階での気密性評価や、トラブル発生時の原因究明といった「単発でのスポット利用」にも幅広く活用されています。
「導入前に試してみたい」方へ
三弘エマテックでは、アルバック社製 HELIOT900シリーズを用い、お客様の製品・部品をお預かりしてのサンプリングテストに対応しています。
「導入前に精度を確かめたい」「単発でのテスト検証がしたい」という場合も、お気軽にご相談ください。
商品例
ヘリウムリークディテクタは、メーカーやモデルによって得意とする領域が異なり、研究開発向け、製造ライン向け、機動性の高いポータブルタイプなど、様々な製品があります。
三弘エマテックでは、複数のメーカーのヘリウムリークディテクタを取り扱っています。
用途・現場環境・予算に合わせた機種選定のご相談も承ります。
アルバック社製 HELIOT900シリーズ

最小可検リーク量 <5×10⁻¹³ Pa·m³/s(He)を誇る高感度機。
タブレット型ワイヤレスコントローラを標準搭載し、操作性に優れます。ヘリウムに加えて水素ガスの検出にも対応しており、水素関連設備の検査にも活用できます。
粗引きポンプや可搬性の異なる5モデルから、現場の用途に合わせて選択可能です。
💡導入後も安心のサポート体制
三弘エマテックでは、お客様に最適なご提案と導入後の迅速なサポートを行うため、定期的な技術研修を行っています。
HELIOT900を用いた、デモロールプレイの様子や、社内勉強会で共有された活用ポイントミニ講座をこちらの記事で公開しておりますので、ご興味のある方はぜひ合わせてご覧ください。
社内でのヘリウムリークテスト技術研修の様子はこちら
エドワーズ社製 ELD500シリーズ

重量約30kgの軽量ボディでキャスター付き。
起動から2分以内に使用可能で、移動が多い現場や複数ラインへの転用にも対応します。ウェット・ドライ・フレックスの3モデルから選択できます。
ライボルト社製 PHOENIXシリーズ

マルチカラータッチスクリーンを採用したシリーズ。
直感的な操作性が特長で、オペレーターの習熟度に関わらず確実な操作が可能です。
まとめ
ヘリウムリークテストは、ガスを用いたリークテストのなかでも最高水準の検出感度を持つ検査手法です。
エアリークテストでは見つけられない微小な漏れの検出・漏れ箇所の特定に最適で、自動車・半導体・医療・水素エネルギーなど幅広い分野で活用されています。
三弘エマテックでは、装置の選定相談やサンプルテスト・デモンストレーションにも対応しています。
「自社の検査工程にヘリウムリークテストが適しているかわからない」「まずヘリウムリークディテクタを試してみたい」という場合も、お気軽にご相談ください。
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