コラム COLUMN

リークテストの方法とは?目的や正しい方法を製品とともに紹介!

工業製品の中には真空状態や密閉状態を保つことで、機能を発揮するものは数多く存在します。そして、真空状態が保たれているかどうかや密閉された工業製品や部品が「しっかりと密閉されているか」どうかを調べる検査を「リークテスト」と呼びます。

完全な真空状態が保たれていることを確認するためには、リークテストの実施が必要不可欠です。

リークテストは、以下の業界で多く必要とされます。

  • 電気・電子機器
  • 医薬・薬品
  • 自動車
  • 住宅
  • 機械

本記事では、リークテストの方法や目的を具体例を使って説明します。

リークテストとはどんな方法?

リークテストとは、配管やポンプなどの接合部分や密閉空間などで漏れがないかどうか、をチェックするテストです。

感度や判定方法の違いから、さまざまな種類のリークテストがあります。

リークテスト方法は、JISZ2330に規定されます。 ここで紹介するリークテストは、一般的に使用される代表的な方法です。

加圧方法

対象となるものに空気や水を満たし、圧力をかけて漏れの箇所を確認する方法の総称です。

加圧方法は、以下の方法でチェックします。

圧力変化法

対象製品を空気や窒素などで加圧し、一定時間放置した後に、内部圧力の差を見る方法です。

漏れの箇所を特定することはできませんが、漏れた量の定量ができる方法です。 また、人為的誤差が生まれにくい方法であるため、結果の信憑性は高いとされています。

差圧変化法

対象製品とマスター基準製品(漏れ箇所のない製品)を空気や窒素などで加圧し、圧力降下の差を比較し、密閉状態であるか否かを確認する方法です。

漏れの箇所を特定することはできませんが、漏れた量が定量的に測れます。 また、人為的誤差が生まれにくい方法なため、結果の信憑性は高いとされています。

水没法

水を貯めた水槽などに対象製品を入れ、空気や窒素などで加圧し、漏れによる気泡の発生を確認する方法です。

費用が多くかからず、簡単に確認できることから、ランニングコストがかかりにくい方法とされています。 一方でリークテストの対象となる製品が水濡れ厳禁の場合にはこの方法は使用できません。

流量測定法

対象製品に加圧し、流量計によって漏れを測定する方法です。 コストも設備も大きくかかりませんが、微小な漏れの検出ができないことがあります。

水圧法

対象製品に、水を入れて圧力をかけ水の漏れを確認する方法です。 液没法よりも簡易的な設備での実施が可能で、よりランニングコストがかかりません。

石鹸水塗布法

対象製品の外側に石鹸水を塗布し、製品を窒素などで加圧し、漏れによる気泡の発生を確認する方法です。 特定の漏れ箇所を発見するために有効な方法で、機械的及び人的コスト面で優れています。

吸い込み法(スニッファ法)

対象製品にハロゲンのような冷媒ガスやヘリウムなどを使用して加圧し、漏れ出てしまうガスをスニッファプローブが吸入し、リークディテクター機器を用いて確認する方法です。

ヘリウムリークテストも、この方法と類似しています。 漏れ箇所の特定、漏れたガス量の定量の両方が精密な機械によって一度にわかるため、時間の節約と人的誤差のないテストが可能です。

染色浸透探傷検査

対象製品を空気や窒素などと浸透液(有色)を一緒に加圧し、着色した漏れ箇所を確認する方法です。 目視が可能な対象製品であれば、簡単に確認できます。

真空方法

対象製品を真空排気することで、圧力をかけて漏れの箇所を確認する方法の総称です。 真空方法は、以下の方法でチェックします。

真空吹付法

対象製品の周りを減圧させ、表面にヘリウムガスを吹き付けます。製品に流入するヘリウムガスをリークディテクターで測定する方法です。 検出量が少なくても、漏れ確認を確実に行うことが可能です。

真空放置法

対象製品を真空排気し密閉し、圧力上昇があるかどうかで全体の漏れ量を確認する方法です。 漏れ量の定量は可能ですが、漏れ箇所を特定することができない方法です。

液塗布法

対象製品を真空排気しながら、アルコールを塗布し、到達圧力の変化を確認する方法です。アルコールが穴をふさぐと圧力が下がり、気化すると圧力が上がることから漏れの箇所を判断できます。

漏れ箇所の特定をするための手法として用いられます。

その他にも、さまざまな種類のリークテスト方法が存在します。 希望のリークテスト方法が見つからない、どの方法を用いたら良いかわからないなど、ご不明点があれば、お気軽に弊社までご相談ください。

リークテストの目的

リークテストを行う目的は、製品や方法によってさまざまです。 漏れの箇所や量など目的に応じたリークテスト方法を紹介します。

漏れの箇所を知りたい場合

漏れ箇所を知りたい場合には、以下の方法が利用できます。

加圧or真空リークテスト方法
加圧方法圧力変化法
加圧方法水圧法
加圧方法石鹸水塗布法
加圧方法吸い込み法(スニッファ法)
加圧方法染色浸透探傷検査
真空方法真空吹付法

漏れの量を知りたい場合

漏れの箇所ではなく、どのくらい漏れ量があるか知りたい場合には、以下の方法が利用できます。

加圧or真空リークテスト方法
加圧方法差圧変化法
真空方法真空吹付法
真空方法真空放置法

製品に開口部がないが漏れ確認をしたい場合

製品に開口部がない場合には、「ボンビング法」でリークテストをすることができます。

ボンビング法とは、ヘリウムガスの流入や流出を見ることで漏れを確認する方法です。 真空状態にできるタンクへ対象製品を入れ、一定時間真空引き後、ヘリウムで一定時間加圧放置します。その後、対象製品を取り出し、別のタンクへ移動させ、内部を真空排気して、漏れによるヘリウムの検出を確認します。

ヘリウムリークテストは最も感度が高く様々な分野で活用できる

リークテストの中でも「ヘリウムリークテスト」は他の方法と異なる点があります。

ヘリウムリークテストは、加圧検査、真空検査のどちらを用いても、リーク(漏れ)を確認できる実用的な方法です。

ヘリウムガスの特長に、不活性であること、分子量が小さく分子径も小さいこと、熱伝導率が高いこと、沸点が-269℃と低く常温で気体であることが挙げられます。

このことからも、ガスを用いたリークテストの中でも最も感度が高く、非常に小さな漏れも感知可能です。

さらに、テスト作業者のスキルによる誤差が発生せず、高精度の測定結果が得られます。

使用したヘリウムガスは再生利用ができることから、使用量を抑えて環境保護にも貢献できるガスと言えるでしょう。 以下のような分野や材料で、ヘリウムリークテストは活用されています。

住宅設備

住宅設備でも、ヘリウムリークテストが活用されています。 例えば、住宅で使用される冷蔵庫やエアコンの冷却システムや熱交換器、消火器、水道メーター、配管など幅広い製品に使用されます。

自動車部品

自動車の部品では、アルミホイールや車載用エアコンの熱交換器、燃料タンク、モーターのインバーターなどで活用されます。

自動車関連でも、多くの部品の漏れ検査でヘリウムリークテストが使用されています。 温度変化による誤判定やテスト作業者による人的誤差があると、エンジン部品の品質が一定にならず、最終製品への品質影響も大きいため、精度の高いテスト方法を取り入れることが必要です。

電気・電子材料

電気・電子材料では、電子デバイスやコンデンサーなどで活用されます。 電子材料は小さな対象製品となることが多く、より高感度で微細な漏れを検出することが求められます。

※事例:漏れ検査装置

ヘリウムリークディテクタの種類

リークディテクタとは、ガスを使用したリークテストを行った際に、高気密性を有している製品から、ガス漏れがあるかどうかを確認する装置です。

使用するガスの中でも、ヘリウムガスを感知するリークディテクタは、極めて小さい漏れを検出できるものとして知られています。

ヘリウムリークテストは、最も高精度な漏れ検査として使用され、現在最も広く使用されている方法です。

リークディテクターは、汎用性やコンパクトさ、モバイル性など検討するべき性能がたくさんあります。

ここでは、弊社の取り扱うヘリウムリークディテクター「HELIOT900シリーズ」と「ELD500シリーズ」の2製品を紹介します。

アルバック社製HELIOT900シリーズ

アルバック社の「HELIOT900シリーズ」は、排気速度に優れ、本体と完全分離できるコントローラーで利便性も高く、優れたメンテナンス性もあり使いやすさを兼ね備えたシリーズです。

漏れ検査において、あらゆる場面で常に活躍できるリークディテクターです。

ヘリウムガスのほかに、水素ガスも利用できるため、幅広い製品の漏れ検査を行えます。

HELIOT900シリーズの大きな特徴のひとつは、ヘリウムの排気速度が早く、より小さな漏れが検出できることです。バックグラウンドの下がりが早く、安定していることも検知能力の高さや時間短縮につながっています。

本体から完全独立したタブレット型コントローラーを標準採用しており、オペレーターの手元での操作や使用方法や場所を選ばないことから、利便性が向上しました。

さらに、コントローラー画面は直感的に使用できるテスト画面のため、必要な情報が伝わりやすく、初めて使用するオペレーターでも迷うことなく確実な操作ができます。

HELIOT904シリーズでは、移動や固定など現場の声を徹底的に取り入れたモバイルカートが採用されています。

HELIOT901W1」「HELIOT901D2」「HELIOT904W2」「HELIOT904D3」「HELIOT904D4」の5つのモデルがあり、ボディタイプや粗引きポンプに違いがあるため、検出能力や使用場所に合わせてお選びいただけます。

HELIOT901W1

HELIOT901W1は、ポータブルボディタイプのリークディテクターです。

粗引きポンプは油回転真空ポンプを採用し、フロアカート付きでも50kg以下とシリーズで最も軽量で移動に役立ちます。

HELIOT901D2

HELIOT901D2は、ポータブルボディタイプのリークディテクターです。

粗引きポンプはスクロールドライ真空ポンプを採用し、シリーズの中で最も消費電力を抑えられます。

HELIOT904W2

HELIOT904W2は、モバイルボディタイプのリークディテクターです。

粗引きポンプは油回転真空ポンプを採用し、同タイプのポンプを持つHELIOT901W1よりも排気速度が高く、時間短縮できます。

HELIOT904D3

HELIOT904D3は、モバイルボディタイプのリークディテクターです。

粗引きポンプはスクロールドライ真空ポンプを採用し、同タイプのポンプを持つHELIOT901D2と比べて約3倍も排気速度が高い特長があります。

HELIOT904D4

HELIOT904D4は、モバイルボディタイプのリークディテクターです。 粗引きポンプはスクロールドライ真空ポンプを採用し、シリーズの中で最も排気速度が高い特長があります。

エドワーズ社製ELD500シリーズ

エドワーズ社の「ELD500シリーズ」では、高精度のリークディテクターで、幅広い製品の漏れを迅速にかつ正確に検出できます。

また、移動も簡単に行えるように30kgという軽量化とタイヤを装着しているため、インターフェース制御が簡単です。

ELD500シリーズは、低エネルギー消費、長期間の保証、長寿命のイオン源が特長的で、パフォーマンスを妥協することなく、優れた低コストの実現が可能です。

起動から、2分以内に使用できる環境が整えられ、忙しい毎日をサポートできます。

漏れ確認の正確な測定のための真空モードと漏れ箇所の特定を目的としたステファニーモードのいずれかが設定可能です。

「ウェット」「ドライ」「フレックス」の3種類のモデルがあり、付属のポンプに違いがあり、真空モードでの最小検知可能ヘリウムリークレートが違うことから使用目的に合わせてお選びいただけます。

全てのモデルで、ポータブルでありながら精度の高い漏れ検出機能と丈夫なターボ分子ポンプを搭載し、幅広い製品テストに適応できるでしょう。

ELD500(ウェット)

ウェットモデルには、オイルシールドが統合され、ロータリーベーンポンプが搭載されています。

ELD500(ドライ)

ドライモデルには、ヘリウムの最適化されたダイヤフラムポンプが統合されてます。

ELD500(フレックス)

フレックスモデルには、特別な主要ポンプはありませんが、それと同等のタイプとサイズのポンプを自由に選択し、機器をカスタマイズ可能です。

エドワーズ社のドライスクロールポンプなどの大型の主要ポンプもカスタマイズできます。

リークテストの方法でお困りなら三弘エマテックへご相談ください

リークテストの方法や目的、リークディテクターの種類を解説しました。

リークテスト方法は対象製品や検査に必要な装置の種類など、さまざまな要因から絞り込みが必要です。

ヘリウムリークテストは、機器を使用するため簡単な導入にはなりませんが、納得して末永くご使用をいただくために弊社が幅広くバックアップいたします。

リークディテクターの選定でお悩みの際には、お気軽に弊社までお問い合わせください。 ご希望の商品や目的に合った商品を、真空技術に関する商品で培った情報を総合的にご提案いたします。

おわり

この記事を書いた人

アバター画像

Yuusuke Itou

三弘エマテック代表取締役社長 伊藤裕介  日本真空技術株式会社(現 株式会社アルバック)で、半導体装置の制御SE、Heリークディテクタ・真空ポンプ各種の技術担当を経験後、1998年に三弘アルバック(現 三弘エマテック株式会社)に入社。営業経験を経て、代表取締役に就任。 「真空技術の未知なる可能性を見いだし、未来に新たな価値を提供する」ことを目指して会社経営奮闘中。

一覧へ戻る

真空技術に関するご相談・お見積もりは
お気軽にご連絡ください。

フォームからお問い合わせ

デモンストレーション・サンプリングテスト、資料請求やその他のお問い合わせは、下記のリンクよりフォームをご入力頂くことでお問い合わせが可能です。
※3営業日以内に弊社担当者より返信させて頂きます。

各種お問い合わせはこちら